【木曜日、あとは流れに身をまかせて】|ごちそう便りvol.16
Jul 03, 2025
木曜日。
一週間のちょうど折り返しを少し越えた頃。
月曜の勢いはもうなく、かといって週末の気配もまだ遠くて。
そんな微妙な浮遊感をともなう木曜の午後は、
「まあ、なんとかなるか」なんて、
少し肩の力を抜きたくなる時間。
冷蔵庫の中にあった野菜を適当に刻んで、
昨日の残りの出汁に火を入れて、
そのまま丼に注げば、即席のうどん。
でも、こんな何でもない日のごはんでも、
お気に入りの器に盛るだけで、
ちょっとした「ごちそう」になるから不思議だ。
今日は、沖縄の器「やちむん」で。
やちむんは、土のぬくもりが感じられる不揃いさが魅力。
それでいて、手に取るとどっしりと頼もしく、
色も模様も、どこか海や風を思わせてやさしい。
流れるような唐草模様も、
控えめな藍色の絵付けも、
どこか遠くの島の空気を、
食卓に届けてくれる。
お店でも、
やちむんの器に盛られたそうめんやラフテーを見ると、
自然と気持ちが整う。
食べるというより、落ち着く、という感覚。
忙しない日々の中で、
時間をかけて選んだ器に、時間をかけずにつくった料理を盛る。
それが今の自分にちょうどいいと感じられた、
そんな木曜日の昼下がりだった。