【暖簾がつなぐ、心の味】ゆうなんぎいと金アグーの話|ごちそう便りvol.10
Jul 01, 2025
那覇・久茂地の路地裏。
ひっそりと佇む一軒の食堂に、変わらぬ暖簾が揺れています。
「ゆうなんぎい」。
沖縄の人々に、50年以上愛されてきた老舗です。
ガラリと戸を引くと、
どこか懐かしい匂いと、人の笑顔。
器に盛られた島料理が、ゆったりと並ぶカウンター。
ここでは、誰もが少しだけ時間を忘れます。
ラフテーの甘辛さも、ふーちゃんぷるーのやさしさも、
料理というより、暮らしの味。
そんな「ふつうの豊かさ」を、今日も黙々と届けてくれる場所です。
この“ゆうなんぎい”の暖簾が、実は名古屋にも受け継がれていることを、
ご存知でしょうか。
沖縄本店のマスターとママの想いに深く共鳴した人が、
その味と姿勢を大切に守りながら、
名古屋の地にふたつの店を開きました。
本店と違うのは、
「金アグーのしゃぶしゃぶ」があること。
金アグーは、沖縄の幻とも呼ばれる在来豚。
成長が遅く、育てにくい。
でもそのぶん、育てる人の想いが、そのまま味になるようなお肉です。
やわらかく、脂が軽く、
驚くほどすっと体に馴染んでいく。
何より、くさみがない。
口にした人が皆「これは贈り物みたいだね」と笑うのは、
ただの味わい以上の“何か”が、そこにあるからかもしれません。
名古屋のゆうなんぎいでは、
その金アグーを、しゃぶしゃぶという形で丁寧に供しています。
湯気の立つ鍋に、うすく引かれた肉をくぐらせて、
ただ一呼吸、待つだけ。
それだけで、肉の香りと脂の旨味がふわっと花開くよう。
お酒がなくてもいい。
会話がなくてもいい。
ただ、静かに「うん、美味しいね」と頷き合うだけで、もう充分。
このしゃぶしゃぶは、本店にはありません。
でも、そのあたたかさの根っこは、きっと同じです。
味だけではなく、「こうありたい」という姿勢ごと、
しっかりと暖簾に染み込んで、引き継がれているから。
ゆうなんぎいという名の下、
沖縄から名古屋へ、料理を超えて運ばれたもの。
それは、時間の積み重ねでしか得られない信頼と、
食を通して心をつなぐ力。
ごちそう便り。
今日は、暖簾の奥にある心の味を。
※金アグーのお取り寄せはこちらの商品ページからどうぞ。
※ギフト配送も承っております。贈り物にもおすすめです。